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小児矯正は意味がない?子どもの歯並び治療の基本や価格相場についても解説

#8_小児矯正

「子どもの歯並びは成長とともに自然に治るのでは?」
「小児矯正は本当に意味があるの?」

子どもの歯並びが気になっても、矯正すべきか迷う親御さんは少なくありません。

矯正治療は見た目だけでなく、噛み合わせや発音、将来の虫歯や歯周病のリスクにも関わるため、適切な時期に始めることが大切です。

本記事では、小児矯正の基本や価格相場をわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 治療開始時期別の小児矯正の種類
  • 目的別の小児矯正で使用する矯正器具の種類と特徴
  • 小児矯正の費用相場と利用できる補助金について
  • 小児矯正にかかる治療期間と始めるまでの流れ
目次

小児矯正とは

小児矯正とは

小児矯正とは、永久歯がまだ生えそろっていない成長期の子どもに行う歯並びの治療法です。

小児矯正の主な目的
  • 顎の成長を正常な方向へ導く
  • 永久歯が正しく並ぶためのスペースを確保する
  • 噛み合わせを整え、食事や発音をスムーズにする
  • 口呼吸や舌のクセなどの悪習癖を改善する

単に見た目を整えるだけでなく、正しい噛み合わせや呼吸、発音といった口腔機能の向上も重要な目標です。

顎の骨が柔軟な成長期に治療を行うことで、歯並びや顎の発育を自然な形で導き、健康的な口腔状態の基礎を築きます。

ただし、矯正が必要な歯並びが自然に治ることはほとんどなく、適切な治療介入が必要です。

【治療開始時期別】小児矯正の種類

【治療開始時期別】小児矯正の種類

小児矯正は、治療を始める時期によって選べる方法や目的が異なります。

早期から始めることで成長を利用できる場合もあれば、永久歯が生えそろってから本格的に行うケースもあります。

以下では、治療開始時期ごとの代表的な矯正方法について解説します。

【〜12歳くらいまで】第1期治療

第1期治療は、乳歯と永久歯が混在する6歳から12歳頃に行う、土台作りのための治療です。

治療の主な目的は、子どもの旺盛な成長力を利用して、顎の骨格的な問題を改善し、永久歯が正しく生えるスペースを確保することです。

第1期治療で期待される効果
  • 顎の骨の成長を利用して永久歯のためのスペースを作り、歯並びを整えやすくする
  • 大人になってからの矯正治療の負担や期間を軽減する
  • 早期に顎のバランスを整えることで、顔の左右差や噛み合わせの問題を予防する

歯を一本一本動かすのではなく、顎を広げる装置やマウスピース型装置などを用いて、上下の顎のバランスや噛み合わせを整えます。

第1期治療を行うことで将来的な抜歯のリスクを減らし、本格矯正(第2期治療)が必要になった場合でも、期間短縮や負担軽減が期待できます。

【12歳くらい〜】第2期治療

第2期治療は、永久歯がすべて生えそろった12歳頃から始める本格的な歯列矯正です。

第1期治療で整えた顎の骨格を土台とし、最終的に美しい歯並びと正しい噛み合わせを完成させることが目的です。

第2期治療で期待される効果
  • 永久歯の歯並びを整え、虫歯や歯周病のリスクを減らす
  • 噛み合わせを正しく調整し、咀嚼機能を改善して胃腸の働きを助ける
  • 発音の改善につながる
  • 歯並びや口元の見た目が整い、自信を持てるようになる

治療内容は成人矯正とほぼ同様で、ワイヤーやマウスピース型の装置を用いて、歯を一本一本、理想的な位置へと精密に動かします。

第1期治療で顎の土台が整っている場合、第2期治療での抜歯リスクが軽減され、治療期間の短縮も期待できます。

治療期間は症状によりますが、1年から3年程度が目安です。

監修者コメント

小児矯正は成長段階に応じた適切な治療開始が重要で、第1期・第2期それぞれの目的と効果を理解したうえで、専門医と相談しながら計画することが推奨されます。

【目的別】小児矯正で使用する矯正器具の種類と特徴

【目的別】小児矯正で使用する矯正器具の種類と特徴

小児矯正で使用する器具は、治療の目的や歯並びの状態により種類や特徴が異なります。

成長を促して顎の大きさや形を整えるものもあれば、歯の位置を動かして噛み合わせを改善するものもあるため、症状に合った適切なものを選ぶことが重要です。

以下からは、目的別に代表的な矯正器具と特徴を解説します。

歯が並ぶスペースを作る

小児矯正では、永久歯が並ぶスペースを作るため、顎の成長を利用して歯列を広げる装置を使います。

使用される矯正器具の例は、以下のとおりです。

スクロールできます
矯正器具の種類目的特徴
急速拡大装置上顎の横幅を拡げ歯が並ぶスペースを確保固定式装置
ネジを回して骨ごと上顎を広げる
床拡大装置
(拡大床)
顎の骨を拡大しスペースを作る取り外し式
中央のネジを広げて徐々に歯列の幅を広げる
クワドヘリックス奥歯に装着し上顎を横に広げる固定式
弾性ワイヤーで上顎骨の幅を調整
リンガルアーチ奥歯の位置を固定しスペースを保持歯の裏側に細いワイヤーを装着
スペース保持や限局的な歯の移動に使用

上記の装置は、歯並びの土台を作る第1期治療で主に使用され、子どもの口の状態に応じて最適なものが選択されます。

出っ歯や受け口(骨格のズレ)を治す

出っ歯や受け口といった骨格のズレを治すため、小児矯正では子どもの成長する力を利用します。

出っ歯や受け口(骨格のズレ)を治すための装置は、主に以下のとおりです。

スクロールできます
矯正器具の種類主な適応・目的特徴
ムーシールド受け口(反対咬合)の改善寝ている間などに装着する
マウスピース型装置
バイオネーター出っ歯・下顎の成長不足筋肉の力を利用して下顎の
前方成長を促進
プレオルソ出っ歯・受け口・筋機能不正柔らかいマウスピース型装置
インビザライン・ファースト出っ歯・受け口・歯のズレ透明なマウスピース型矯正装置
上顎前方牽引装置(フェイスマスク)受け口(反対咬合)の改善ゴムで上顎を前方に牽引し、
上顎の成長を促進
チンキャップ下顎の過成長からくる受け口下顎の成長を抑える顎外固定式装置
ヘッドキャップと下顎カップで
力をかけ、骨格バランスを整える
ヘッドギア出っ歯(上顎前突)の成長抑制上顎の成長を後方へ
コントロールする固定式装置

顎の骨が柔軟な成長期に、症状に合わせて装置を使い分けることで、将来の本格矯正や外科手術の負担軽減を目指します。

指しゃぶりを治す

長引く指しゃぶりは、前歯が噛み合わない開咬(かいこう)などの歯並びの乱れにつながります。

指しゃぶりの癖を改善するために用いる装置は、以下のとおりです。

スクロールできます
矯正器具の種類目的特徴
指しゃぶり
防止装置
指しゃぶりの習慣を防止する口内に固定する金具タイプの装置
プレオルソ指しゃぶり・舌癖の改善柔らかいマウスピース型装置
タングクリブ舌突出癖や指しゃぶりの矯正上顎に装着し、舌や指が歯に
直接影響を与えるのを防ぐ

歯を直接動かすのではなく、癖がなくなることで口周りの筋肉のバランスが整い、歯並びが自然と改善されるのを促すのが目的です。

主に小学校低学年頃の子どもに適用されます。

歯の向きを変える

永久歯への生え変わり時期に、スペース不足などが原因で歯がねじれたり、傾いたりすることがあります。

個々の歯の向きを細かく調整するための装置は、以下のとおりです。

スクロールできます
矯正器具の種類目的特徴
マルチブラケット装置歯の位置・向きを正確に調整歯の表面にブラケットを装着し、
ワイヤーで力をかけ歯を動かす
リンガルアーチ歯の位置や向きを細かくコントロール奥歯を固定しながら、歯の位置や
向きを調整する細いワイヤー装置
クワドヘリックス歯列の横幅調整と歯の向き修正ワイヤーの弾性を利用し、
歯を徐々に広げ整列させる
拡大床(急速拡大装置含む)顎骨の拡大と歯列スペースの確保顎骨自体を広げることで歯が
正しい位置に並ぶスペースを作る
プレオルソ筋肉機能を整え歯の自然な位置に誘導柔らかいマウスピース型の機能的矯正装置

上記のような治療は、将来の本格矯正の負担を軽減する目的で行われます。

小児矯正の費用相場

小児矯正の費用相場

顎の成長を整える第1期治療と、永久歯の歯並びを整える第2期治療の両方を行う場合、総額で40万~120万円程度が目安です。

治療段階ごとの費用相場は、以下の表を参考にしてください。

スクロールできます
治療段階主な治療法・装置費用相場
第1期治療床矯正、マウスピース型装置(プレオルソ等)10万円 ~ 50万円
第2期治療ワイヤー矯正(表側)50万円 ~ 100万円
マウスピース矯正50万円 ~ 80万円
その他検査・診断料、調整料、保定装置代など別途費用がかかる場合あり

装置だけの費用以外にも、初回の検査・診断料や、通院ごとの調整料、治療後の保定装置代などが別途かかる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

料金体系は歯科医院で異なるため、治療開始前に総額を確認することが大切です。

子どもの歯科矯正で利用できる補助金

子どもの歯科矯正で利用できる補助金

子どもの歯科矯正は長期にわたる治療となることが多く、費用の負担も小さくありません。

しかし、公的制度や自治体の取り組みには、条件を満たせば補助金や助成を受けられる場合があります。

以下では、子どもの矯正治療で利用できる主な補助制度について解説します。

医療費控除

子どもの歯科矯正費用は、医療費控除で負担を軽減できます。

年間医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税の一部が還付される制度です。

対象となるのは、噛み合わせの改善など、歯科医師が治療目的と判断した場合です。

控除の対象になる費用の例
  • 矯正の診察料・装置代・調整料
  • 治療に必要な医薬品代
  • 公共交通機関での通院費

単なる見た目の改善は対象外となります。

公的保険

子どもの歯科矯正は、基本的に保険が適用されない自由診療です。

しかし、国が定める特定の条件を満たす場合は、例外的に保険が適用されます。

主な保険適用条件
  • 先天性疾患による咬合異常
    唇顎口蓋裂、ダウン症候群など国が定める約60の疾患
  • 顎変形症
    外科的な手術を伴う、顎の骨格の著しい不調和
  • 治療場所
    国の指定を受けた保険医療機関での治療が必要

代表的なのは唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)などの先天的な疾患が原因で、噛み合わせに異常がある場合です。

治療は国から認可された「指定医療機関」で受ける必要があるため、対象になるか専門の医療機関に相談してみましょう。

監修者コメント

子どもの矯正治療にかかる費用負担を軽減するためには、医療費控除や公的保険の適用条件を事前に確認し、必要に応じて専門医に相談することが重要です。

小児矯正にかかる治療期間

子どもの歯科矯正は、主に3つの段階で進められます。

顎の成長を利用して骨格の土台を整える第1期治療、永久歯が生えそろってから歯並びを細かく調整する第2期治療、そして治療後の歯並びを安定させる保定期間です。

全体の期間は、子どもの歯並びの状態や治療の開始時期により異なりますが、各段階の期間の目安は以下のとおりです。

スクロールできます
治療段階目的費用相場
第1期治療顎の成長を促し、骨格のバランスを整える1年~3年程度
第2期治療永久歯の歯並びや噛み合わせを細かく調整する1年半~3年程度
保定期間矯正後の歯並びを安定させ、後戻りを防ぐ1年~3年程度

治療後の後戻りを防ぐためにも、保定期間まで含めて計画的に進めることが大切です。

小児矯正を始めるまでの流れ

小児矯正を始めるには、事前の相談から検査、治療計画の決定まで、いくつかの段階を踏む必要があります。

全体の流れを理解しておくことで、治療に対する不安や疑問を減らし、スムーズに進めやすくなります。

治療開始までの一般的な流れは、以下のとおりです。

STEP
初診相談

初診相談では、保護者の方がお子様の歯並びについて日頃から気になっている点や、治療への不安などを歯科医に伝えます。

歯科医が口の中を直接見て、歯並びや顎の状態を確認します。

STEP
精密検査

小児矯正を始める前には、一人ひとりに最適な治療計画を立てるため、精密検査を行います。

主な検査内容は、レントゲン撮影で顎の骨や永久歯の状態を確認し、口腔内と顔の写真を撮って現在の歯並びや顔全体のバランスを記録します。

さらに、歯型を採取して歯の大きさや歯列を精密に計測します。

上記のような精密データをもとに、専門医が最適な治療法を決定します。

STEP
診断・治療計画の説明

精密検査で得られたデータをもとに、歯科医師が診断結果と具体的な治療計画を説明します。

レントゲン写真や歯型などを確認しながら、子どもの現在の歯並びや顎の状態、考えられる問題点を解説します。

その上で、最適な治療の開始時期、使用する装置の種類、予測される期間や費用など、詳細な治療計画が提案されます。

説明に納得し、同意した上で初めて治療契約を結び、実際の矯正治療へと進んでいきます。

STEP
矯正治療開始

診断と治療計画に納得したら、矯正治療の開始です。

まず、虫歯などがあれば先に治療を済ませ、必要に応じて抜歯などの前処置を行います。

その後、治療計画に沿って、歯並びや顎の状態に合わせた矯正装置を装着します。

装置を付けた後は、取り扱いや歯磨きの方法について指導を受け、1〜2ヶ月に1回のペースで通院しながら装置の調整や口の状態のチェックを進めていきます。

STEP
1期治療終了・保定

小児矯正の1期治療で顎の骨格を整えた後は、歯並びを安定させるための保定期間に入ります。

治療直後の歯は、まだ骨に固定されておらず、元の位置に戻ろうとする後戻りが起きやすい状態です。

歯科医師の指示に従ってリテーナーを使うと、整った歯並びを定着させ、1期治療の成果を確実なものにします。

STEP
1期治療終了

小児矯正の1期治療で顎の成長を整えた後は、永久歯が生えそろうまで経過を観察します。

すべての永久歯が生えそろった段階で再度検査を行い、歯並びや噛み合わせを最終的に仕上げる「2期治療」が必要かどうかを判断します。

第1期治療の歯列改善率は約7割程度とされており、それ以上の改善を求める場合は第2期治療への移行が一般的です。

最終的な方針は、歯科医師と子ども本人、保護者の方とで相談して決定します。

小児矯正をやらなきゃよかったと感じるケース

小児矯正をやらなきゃよかったと感じるケース

小児矯正は将来の歯並びや噛み合わせの改善につながりますが、中には「やらなきゃよかった」と感じるケースもあります。

その多くは、治療の理解不足や期待とのギャップが原因です。

以下では、後悔するケースに共通する状況や理由について解説します。

後戻りが起こった

小児矯正で後悔する原因の一つが、治療後の「後戻り」です。

せっかく時間と費用をかけて整えた歯並びが元に戻ってしまうと、治療が無駄になったと感じてしまいます。

後戻りの主な原因は、矯正後の歯並びを安定させる保定装置(リテーナー)の装着不足です。

また、指しゃぶりや舌で歯を押す癖などが改善されていないと、再び歯並びが乱れる原因になります。

後戻りを防ぐには、歯科医師の指示を守り、根気強く保定を続ける必要があります。

不必要な抜歯をされた

小児矯正で後悔する一因に、不必要な抜歯があります。

子どものうちは顎の成長を利用して歯を並べるスペースを確保できるため、必ずしも抜歯が必要とは限りません。

顎のスペースが十分にあるにもかかわらず抜歯を行うと、以下のようなリスクが考えられます。

小児矯正で抜歯するリスク
  • 怖がってしまう
    歯を抜くのは子どもにとって怖いことが多く、治療が嫌になったりストレスになることがある
  • 痛みや腫れがある
    抜歯の後に痛みや腫れが出ることがあり、つらい思いをする場合がある
  • 咀嚼力(噛む力)が弱くなるかも
    歯が減るので噛む力が落ち、食べることに影響が出ることがある
  • 元々健康な歯を抜くので将来影響がある
    健康な歯を抜くことになるため、将来的に歯並びや歯の寿命に影響が出ることがある

抜歯で後悔をしないためにも、歯科医と十分に話し合うことが大切です。

治療期間が長引いた

小児矯正は、子どもの成長に合わせて行うため、治療が数年にわたることがあります。

子どもにとっては、装置の不快感や見た目を気にするストレス、保護者の方にとっては、高額な費用や通院の手間、お子様のモチベーション維持といった精神的な負担が挙げられます。

治療が長引くほど、負担は増大し、親子で疲弊してしまうことがあります。

矯正のタイミングとサイン

子どもの歯並びや噛み合わせの状態は成長とともに変化しますが、適切なタイミングを逃すと治療が長引いたり、選べる方法が限られたりすることがあります。

以下では、小児歯科を検討すべきタイミングとサインについて解説します。

6〜12歳で一度相談をした方がいい

子どもの歯並びが気になったら、乳歯から永久歯に生え変わる6歳から12歳の時期に、矯正歯科で相談することをおすすめします。

6歳から12歳の時期は顎の骨がまだ柔らかく、成長を利用して歯を正しい位置へ導く第1期治療に最適なタイミングです。

早期に治療を始めることで、顎を広げて永久歯が並ぶスペースを確保しやすくなり、将来の抜歯リスクを減らせます。

歯のがたつきや指しゃぶりなどの癖も、治療を考える大切なサインです。

気になる歯並びのサイン

子どもの歯並びには、早めに気づきたい変化や特徴があります。

見た目だけでなく、噛み合わせや発音、口元の動きにもサインが現れることがあるため、少しでも気になれば歯科医師に相談しましょう。

以下では、矯正を検討するきっかけとなる代表的な歯並びのサインについて解説します。

反対咬合

反対咬合(はんたいこうごう)は、下の前歯が上の前歯より前に出ている噛み合わせの状態で、受け口や下顎前突(かがくぜんとつ)とも呼ばれます。

反対咬合を放置すると、食べ物が噛みにくくなったり、サ行などが発音しにくくなったりする機能的な問題が生じます。

また、顎の関節に負担がかかり顎関節症の原因になることもあるため、注意が必要です。

見た目のコンプレックスにもつながりやすいため、早期に専門医へ相談することが推奨される、注意すべき歯並びのサインです。

交叉咬合

交叉咬合(こうさこうごう)は、上下の歯を噛み合わせた際に、歯並びが横にずれてしまう状態です。

クロスバイトとも呼ばれ、正常な噛み合わせとは異なり、本来内側にあるべき下の歯が部分的に外側にはみ出してしまっています。

放置すると、顎がずれたまま成長して顔が歪んだり、食べ物がうまく噛めなくなったり、顎関節症を引き起こしたりする可能性があります。

遺伝だけでなく、頬杖や指しゃぶりなどの癖も原因となるため、早期の相談が大切です。

萌出不全

子どもの歯の生え変わりで、乳歯が抜けたのに永久歯がなかなか生えてこない場合、萌出不全(ほうしゅつふぜん)という、将来の歯並びに影響しかねないサインです。

萌出不全とは、永久歯が適切な時期や位置に生えてこない状態を指します。

放置すると、隣の歯が倒れ込んでくるなど、全体の歯並びが崩れる原因になります。

歯の生え変わりに左右で半年以上の差があるなど、気になる場合は一度歯科医院で相談しましょう。

開咬

開咬(かいこう)は、奥歯でしっかり噛んでも上下の前歯が噛み合わず、隙間ができてしまう状態です。

開咬の状態では、前歯で食べ物を噛み切れず、サ行などの発音が不明瞭になることがあります。

口が閉じにくいため口呼吸になりやすく、虫歯や歯周病の原因にもなります。

見た目だけでなく、様々な機能的な問題につながるため、早期の相談が推奨される歯並びです。

上顎前突

上顎前突(じょうがくぜんとつ)は、下の歯に比べて上の歯や上顎全体が前方に突出している状態です。

原因は、遺伝による骨格的な問題のほか、幼少期の指しゃぶりや口呼吸といった後天的な習慣も影響します。

上顎前突を放置すると、転んだ際に前歯を怪我しやすくなるだけでなく、口が閉じにくいために口内が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

見た目のコンプレックスにもつながりやすいため、気になる場合は早めに専門医に相談しましょう。

噛み合わせの指摘を受けたときなど

歯列矯正を始めるタイミングは、年齢に関わらず歯並びをきれいにしたいと思ったときが最適です。

特に、学校の歯科検診などで歯並びや噛み合わせの問題を指摘された場合は、治療を考える良いきっかけになります。

指摘を受けたら、まずは矯正歯科などの専門家に相談し、口の状態に合った適切な診断を受けることが大切です。

​小児矯正のメリット

小児矯正には、成長期ならではの利点を活かせる点が多くあります。

歯並びの改善だけでなく、将来の口腔環境や健康にも良い影響を与える可能性もあるため、事前に各メリットを把握しておくことが重要です。

以下では、小児矯正を行うことで得られる主なメリットについて解説します。

顎の成長を利用できる

小児矯正の最大のメリットは、子どもの顎の成長を利用して、歯並びの土台から効果的に整えられることです。

成長期の柔らかい顎の骨は、矯正装置によってコントロールしやすく、将来永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保できます。

土台作りにより、出っ歯や受け口などの骨格的な問題の改善が期待できます。

また、顎のアーチを適切に広げることで、大人になってからの矯正で必要になりがちな、健康な歯を抜く「抜歯」を回避できる可能性が高まります。

治療期間や痛みを軽減できる

小児矯正は、大人と比べて治療期間が短く、痛みが少ない傾向にあるのがメリットの一つです。

成長期のお子様の顎の骨や関節はまだ柔らかいため、弱い力でも歯がスムーズに動きます。

そのため、歯を動かすための強い力を必要とせず、矯正装置を装着した際の痛みや圧迫感が軽減されます。

成長の力を最大限に活かせる小児矯正は、子どもの心身への負担を軽くできる効果的な治療法といえます。

成人期の再治療や抜歯などの可能性を軽減できる

小児矯正は、将来的な治療の負担を大幅に軽減できることがメリットに挙げられます。

成長期に顎の発育をコントロールすることで、永久歯が並ぶスペースを確保しやすくなります。

そのため、成人矯正で必要になりがちな健康な歯の抜歯を避けられる可能性が高まります。

また、受け口など骨格に問題がある場合でも、子どものうちなら顎の成長を正常な方向へ導き、外科手術を伴うような大掛かりな治療を回避できるかもしれません。

早期の土台作りが、将来の心身、そして経済的な負担軽減につながるでしょう。

歯磨きがしやすくなる

小児矯正をすると、歯磨きがしやすくなることがメリットの一つです。

歯並びが悪いと歯が重なり合った部分やデコボコした部分に歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多くなり、虫歯や歯周病の原因となる歯垢や歯石が溜まります。

矯正治療で歯並びが整うと、歯ブラシが隅々まで届きやすくなり、日々の歯磨きで効率的に汚れを落とせるようになります。

磨き残しが減ることで、虫歯や歯周病になるリスクを効果的に下げ、子どもの歯の健康を将来にわたって守りやすくなります。

指しゃぶりや口呼吸などの癖を改善できる

指しゃぶりや口呼吸などの癖は、子どもの歯並びを乱す原因です。

指で歯を押し続けたり、口が常に開いていたりすると、出っ歯や開咬(かいこう)を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

小児矯正では、専用の装置や口周りの筋肉トレーニング(MFT)によって、指しゃぶりの癖を根本から改善に導きます。

癖を早期に直すことは、顎の健やかな成長を促し、将来のきれいな歯並びの土台を作ることにつながります。

小児矯正のデメリット・注意点

小児矯正のデメリット・注意点

小児矯正には多くの利点がありますが、治療期間や費用、子どもの負担など、事前に理解しておくことが重要です。

メリットだけで判断せず、注意点も踏まえて検討することで、後悔のない選択につながります。

以下では、小児矯正の主なデメリットや注意点について解説します。

虫歯・歯周病リスクにつながる可能性がある

小児矯正、特にワイヤーなど固定式の装置を装着する場合、虫歯や歯肉炎のリスクに注意が必要です。

装置の周りやワイヤーの下は構造が複雑で、食べかすや歯垢がたまりやすくなります。

毎日の歯磨きだけでは汚れを完全に落とすのが難しく、この磨き残しが虫歯や歯肉炎を引き起こしてしまうのです。

矯正期間中は、普段以上に丁寧なセルフケアと歯科医院での定期的なクリーニングが欠かせません。

治療期間が予定通りにいかないことがある

小児矯正の治療期間は、子どもの協力次第で予定通りに進まないことがあります。

矯正装置の違和感や見た目を気にして、装着を嫌がってしまうケースは少なくありません。

特に、自身で取り外しができるマウスピース型の装置は、決められた装着時間を守れないと十分な効果を発揮できないのです。

その結果、歯が計画通りに動かず、治療期間が当初の予定より長引いてしまう可能性があります。

後戻りする可能性がある

小児矯正で整えた歯並びも、再び元の状態に戻ってしまう後戻りの可能性があります。

後戻りの主な原因は、思春期などで予測以上に顎が成長してしまったり、治療後の管理が不十分だったりすることです。

矯正後の歯はまだ不安定で、本来の位置に戻ろうとする力が働きます。

そのため、歯並びを固定するリテーナーという保定装置の使用を怠ると、歯は簡単に動いてしまいます。

小児矯正で後戻りを防ぐ方法
  • リテーナー(保定装置)を正しく使う
  • 定期的に歯科医院でメンテナンスを受けること
  • 生活習慣やクセ(指しゃぶり)に注意する
  • 成長期の骨格変化に対応する

きれいな歯並びを維持するには、リテーナーの装着と定期的な検診が重要です。

長期的な通院が必要になる場合がある

小児矯正の1期治療は、お子様の顎の成長に合わせて進めるため、通院が数年に及ぶことがあります。

長期間必要になるのは、単に歯を動かすのではなく、顎の骨格の成長を正しい方向へ導き、永久歯が並ぶための土台を整えることが目的だからです。

乳歯から永久歯への生え変わりや、顎の成長という数年単位のプロセスを見守りながら治療を進めるため、どうしても長い期間が必要になります。

治療が2期治療へ移行する場合には、さらに期間が必要となることも理解しておきましょう。

小児矯正に関するよくある質問

最後に、患者さんから特によくいただく質問とその回答をQ&A形式でまとめました。

小児矯正を検討する際の参考にしてください。

歯科矯正をやめたほうがいい子どもはいますか?

お子様本人の協力が得られない場合は、矯正治療を無理に進めるのは困難です。

矯正装置の装着を嫌がったり、取り外し式装置の時間を守れなかったりすると、計画通りに治療が進みません。

また、矯正中の歯磨きを怠ると、虫歯のリスクが高くなります。

お子様の性格や治療への意欲を考慮し、心身への負担が大きいと感じる場合は、一度立ち止まって検討することも大切です。

小児矯正を第1期でやめることはできますか?

第1期治療だけで矯正を終えることは可能です。

しかし、第1期治療のみで理想的な歯並びになるケースは限られており、多くの患者さんが第2期治療に移行しています。

自己判断で中断すると後戻りのリスクがあるため、必ず医師と相談しましょう。

小児矯正は意味ないですか?

小児矯正は将来の歯並びの土台を作る上で意味があります。

特に、受け口や出っ歯など骨格に問題がある場合、顎の成長を利用できる子どもの時期の治療が効果的です。

ただし、お子様本人が治療を嫌がったり、歯磨きが十分にできなかったりする場合は、無理に進めると逆効果になることもあります。

歯列矯正が必要なレベルの子どもの特徴は?

出っ歯や受け口など、骨格に問題がある歯並びは、矯正が必要なレベルと考えられます。

また、歯がガタガタに生えている、奥歯で噛んでも前歯が閉じないなどの状態も治療が推奨されます。

見た目だけでなく、指しゃぶりや口呼吸などの癖がなかなか治らない場合も、歯並びに影響を与えている可能性があるため、一度歯科医師に相談することをおすすめします。

子どもの歯列矯正の医療控除はいくら戻る?

戻ってくる金額は、治療費と所得税率で決まります。

まず、年間の医療費から10万円を引いた医療費控除額を計算します。

その控除額に、所得税率(5%~45%)を掛けた金額が、所得税から還付されます。

さらに、医療費控除額の10%が翌年度の住民税から減額されるため、実際の負担はより軽くなります。

子どもの歯列矯正でもマウスピースは利用できますか?

子どもの歯列矯正でもマウスピースは利用できます。

顎の成長を促す「プレオルソ」や、受け口を改善する「ムーシールド」、歯を直接動かす「インビザライン・ファースト」など、年齢や目的に応じた種類があります。

取り外し可能で目立ちにくいメリットがありますが、装着時間を守る自己管理が重要です。

小児矯正で後悔しないために慎重に選択しよう

小児矯正で後悔しないために慎重に選択しよう

小児矯正は、将来の歯並びや口腔環境に大きな影響を与える重要な治療です。

成長期の特性を活かせる一方で、治療期間や費用、子どもの負担など慎重な判断が必要です。

開始時期や方法を誤らないためには、複数の歯科医院で相談し、治療方針や見積もりを比較することが大切です。

家族で十分に話し合い、信頼できる歯科医師と二人三脚で進めることで、後悔のない選択につながります。

記事監修:あずさ歯科クリニック麹町 院長 児島 梓 先生

2010年に岡山大学歯学部を卒業後、岡山大学予防歯科学講座に所属。その後、大阪の歯科クリニックで分院長を務めるなど臨床経験を積み、埼玉県・東京都内のクリニック勤務を経て、2023年4月に「あずさ歯科クリニック麹町」を開設。

豊富な臨床経験に加え、インビザラインや矯正歯科、インプラント治療、審美・補綴領域に至るまで幅広い研修・専門コースを修了。最新の知識と技術の習得に積極的に取り組み、精密かつ安心できる歯科治療を患者様に提供する。

単に症状を治すだけではなく、生活習慣や根本原因にアプローチし「将来にわたって口腔の健康と美しさを維持できること」を重視した診療姿勢は、多くの患者様から高い信頼を集めている。

経歴

経歴

  • 2010年 岡山大学歯学部卒業
  • 2011年 岡山大学予防歯科学講座
  • 2013~2021年 大阪のクリニック勤務(分院長経験)
  • 2021~2022年 埼玉県・東京都内のクリニック勤務
  • 2023年4月 あずさ歯科クリニック麹町開設
資格・所属学会

資格・所属学会

  • インビザラインコース受講
  • 宮島矯正コース受講
  • ストローマンインプラントベーシックコース受講
  • EXDI6ヶ月コース受講
  • SJCDレギュラーコース受講
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