「抜歯後の痛みがなかなか治らない…」「痛み止めを飲んでも効かないけど大丈夫かな?」
抜歯後の痛みから、このような不安を抱える人がいるかもしれません。
とくに親知らずの抜歯では、顔が腫れるなどの症状が出るほか、痛みが長引くケースもあります。抜歯後の痛みは、治療上の正常な反応である一方で、注意が必要な場合もあります。
この記事では、抜歯後の痛みの傾向や痛みを緩和する方法、再受診の目安などを解説します。
ぜひ、参考にしてみてください。
- 抜歯後の痛みの正常な期間とピークについて
- 抜歯後に痛みが長引く原因とドライソケットについて
- 抜歯後の痛みを和らげる方法
- 再受診の目安とタイミング
親知らずなど抜歯後の痛みはいつまで続く?痛みのピークと正常経過

抜歯後の痛みが続く期間は、治療内容のほか体質によっても異なります。
安心して経過観察するためにも、一般的な痛みの過程やピーク期間を確認しておきましょう。
一般的に、抜歯後の痛みのピークは、麻酔が切れてから1〜2日ほどといわれています。主な症状は、ジンジンとした痛みやズキズキとした脈動性の痛みなどです。
ピークを過ぎると少しずつ軽快していき、1週間〜10日ほどで痛みはほとんどなくなります。
一方で、親知らずの抜歯や外科的な治療を行った場合は、長引くケースもあります。
まずは、これらの傾向を理解したうえで、経過を観察してみるとよいでしょう。
親知らずを抜歯すると、まれに唇にしびれや麻痺を感じることがあります。
しびれや麻痺の症状が出ると長く続く恐れがあるため、その場合には、早めに歯科医院に相談しましょう。
抜歯後の強い痛みが続く原因とは?

抜歯箇所が激しく痛む場合や、痛みがどんどん強くなる場合は、さまざまなトラブルの可能性が考えられます。
ここでは、抜歯後の痛みが強い場合や長引くときの主な原因を解説します。
- 抜歯時の骨への負担
- 骨片・残根や神経損傷
- 感染症の可能性
- ドライソケット(乾燥窩)
抜歯時の骨への負担
歯の根が曲がっているなどの複雑な症例では、抜歯時に骨に強い負担がかかる場合があります。
このような骨に負担がかかる抜歯では、一般的な症例と比較して、施術後の痛みや腫れなどが長引くこともあるでしょう。
場合によっては、痛みが1週間以上続くケースもあるかもしれません。その際も、徐々に痛みが軽減していく場合は、正常な治癒過程とみてよいでしょう。
骨片・残根や神経損傷
ごくまれに、抜歯後に歯の根の一部や、小さな骨片が抜歯窩(ばっしか)に残ってしまうケースがあります。
抜歯窩(ばっしか):
歯を抜いた後に、歯が埋まっていた顎の骨に残る穴や、くぼみのことを指します。
チクチクとした痛みが数か月にわたって続く場合や、しびれなどの症状がある場合は、このような要因が関連しているかもしれません。
チクチクした痛みやしびれなどの神経症状を感じた際は、歯科医師に相談するようにしましょう。
感染症の可能性
細菌によって抜歯窩の内部が感染症を起こした場合、強い痛みや腫れを引き起こす可能性があります。
感染症による主な症状は、以下の通りです。
- 抜歯後しばらくして痛みが強くなる
- 抜歯窩から膿が出る
- 口内から悪臭がする
- 発熱
抜歯後に処方された抗生剤を途中で中断した場合、感染症のリスクを高めてしまいます。
処方薬がある場合は、医師の指示に従って服用するようにしましょう。
ドライソケット(乾燥窩)
抜歯後の痛みの原因として挙げられる代表例の一つに、ドライソケットがあります。
ドライソケットの発生率は、一般的な抜歯で2〜4%といわれており、抜歯後2〜5日ほど経過して強い痛みが現れます。
ドライソケットによる痛みは、市販の鎮痛剤が十分に効かないケースも珍しくありません。
ドライソケットの疑いがある場合は、早めに歯科医院に相談しましょう。
抜歯後の痛みはドライソケットかも?現れる3つの症状と原因

抜歯をしてから数日経過して痛みが現れた場合は、ドライソケットになっている可能性があります。
ドライソケットは、市販の鎮痛剤が効きにくい傾向があるほか、痛みが長引くケースもあります。
ここでは、ドライソケットの主な症状と原因を解説します。あわせて、治療法についても確認してみましょう。
ドライソケットの3つの症状
ドライソケットでは、主に以下のような症状が現れます。
- 抜歯直後には痛みがなく、2〜5日ほど経過して強い痛みを感じる
- 抜歯をした箇所だけではなく広範囲に痛みを感じる
- 抜歯患部が陥没している、または骨が見える
正常な痛みは、抜歯直後からピークを迎え徐々に軽減していきます。一方で、ドライソケットは、一時的に痛みが引いたあとに再び強い痛みが現れるのが特徴です。
また、正常な抜歯窩は血液によって赤黒く見えますが、ドライソケットでは血やかさぶたなどがなく、白っぽい骨が見える場合があります。
ドライソケットの原因
通常、抜歯後の穴には血餅(けっぺい)と呼ばれる、抜歯窩の内部を守るための血の塊が生成されます。
この血餅が、何かしらの影響によって正常に作用しない状態がドライソケットです。
ドライソケットの原因となる具体的な行動例は、以下の通りです。
- うがいのしすぎ
- 抜歯箇所への刺激
- 長時間の入浴や激しい運動
- 特定の薬による影響
- 喫煙など
| 行動 | リスクの理由 |
| うがいのしすぎ | 血餅が流れ落ちてしまう |
| 抜歯箇所への刺激 | 傷口を刺激し炎症の原因になる |
| 長時間の入浴や激しい運動 | 血流が促進され出血しやすくなる |
| 喫煙をする | 血流が悪くなるほか、血餅を剥がしてしまうリスク |
抜歯後の出血不足のほか、血餅が固まる前に流されてしまうなどの原因が考えられます。
ドライソケットを防止するためには、日常生活の注意点や抜歯後のケアなど、歯科医師の指導を守ることが重要です。
ドライソケットの治療法
ドライソケットの可能性が考えられる場合は、早めに歯科医院を受診することが重要です。
そのまま放置した場合、痛みが長引くほか歯茎の形が悪くなるリスクがあります。
ドライソケットの主な治療内容は、患部の洗浄や軟膏薬の塗布、抗生剤による炎症止めなどです。
抜歯窩の内部を清潔な状態で保ち、患部の治癒を促します。
症状によっては血餅の再形成が必要かもしれません。その場合は麻酔をしたうえで、抜歯窩に傷をつけて人工的に出血を促します。
ドライソケットは、下の親知らずを抜いたときに起こりやすいとされています。
下あごは骨がかたく、歯が深く埋まっていることがあります。抜歯にかかる時間も長くなりがちで、傷が大きい場合も少なくありません。上あごに比べて痛みは長引く傾向にあるため、術後は安静にしておきましょう。
抜歯後の痛みを緩和する対処法

なかには、抜歯後の痛みに耐えられない人や、今すぐに痛みをどうにかしたい状況があるかもしれません。
ここでは、抜歯後の痛みを乗り越えるために、自宅でできる対処法を解説します。
| 対処法 | ポイント |
| うがい・歯磨きを優しく行う | 傷口を清潔に保つ |
| 痛み止め・冷却を活用する | 痛みを和らげる |
| 生活習慣を調整する | 安静を保ち、血流の変化を防ぐ |
| 食事・栄養管理を意識する | 傷口への刺激を減らす |
うがい・歯磨きを優しく行う
抜歯後は、傷口を清潔に保つことが重要ですが、やり方には注意が必要です。
抜歯直後や血餅が安定していない時期は、なるべくうがいを控えるか、優しくゆすぐ程度にとどめるようにしましょう。また、歯磨きの際は歯ブラシを抜歯患部に当てず、周囲を優しく撫でるように行います。
日々のケアについて歯科医師から指示がある場合は、守るようにしましょう。
痛み止めや冷却を活用する
抜歯後の痛みが強い場合は、痛み止めを服用することで症状を緩和できる可能性があります。
とくに、歯科医院からの処方薬がある場合は、服用のタイミングや回数を守ることが大切です。
痛みがない場合も自己判断で中断せず、医師の指示に従うようにしましょう。
特に抗生剤は、症状が改善しても医師の指示通りすべて服用するようにしましょう。(痛みに応じて服用(頓服)する指示の場合もあります)
また、痛みがある患部を冷却する方法も有効です。濡れたタオルや布で包んだ保冷剤などを使用して、頬の上から冷却してみましょう。
生活習慣を調整する
抜歯後の数日間は、生活習慣や口内ケアなどに注意しながら過ごすことが大切です。
とくに、抜歯後24時間は、以下の内容に気をつけるようにしましょう。
- なるべく安静にする
- 飲酒や喫煙を控える
- 長時間の入浴を避ける
抜歯直後は、傷口や血餅の状態が不安定です。
血流がよくなるような、激しい運動や長時間の入浴を避け、できる限り安静に過ごすようにしましょう。
タバコは血流を悪化させる可能性があるほか、喫煙時の吸引動作によって血餅を剥がしてしまうリスクがあります。しばらくは、喫煙も控えるようにしましょう。
食事の注意点や栄養管理を意識する
抜歯をしてから数日間は、なるべく傷口への負担が少ない食事メニューを心がけるようにしましょう。
とくに抜歯当日は、ヨーグルトやゼリー、スープ類、お粥などの咀嚼回数を抑えられる食べ物がおすすめです。
その際も、できる限り抜歯側での咀嚼は避けるようにしましょう。
抜歯後の痛みや食事によるリスクを軽減するためにも、抜歯後の食事について事前に歯科医師に確認しておくことも大切です。
抜歯後の痛みの異常サイン|再受診の目安とタイミング

抜歯後の痛みが長引く場合や、症状の悪化が見られた際、再受診をするべきか迷ってしまうことがあるかもしれません。
再受診のタイミングを見極めるためには、痛みの異常サインを理解しておくことが重要です。
自身のケースと照らし合わせながら確認してみましょう。
痛みが7日以上続く・どんどん強まる
通常、抜歯後の痛みは、術後24〜48時間をピークに徐々に軽減していきます。
一方で、痛みが7日以上続く場合や、一度治りかけた痛みが再度強くなる場合は注意しましょう。
これらの症状は、ドライソケットや細菌感染のサインかもしれません。
症状の長期化や深刻化を防ぐためにも、痛みが長引く場合やどんどん強くなる場合は、早めに再受診するようにしましょう。
顎・耳・首まで広がる腫れや痛み・発熱を伴う症状
抜歯後の痛みとともに、発熱や抜歯窩からの悪臭がある場合は、感染症のサインかもしれません。
痛みや腫れが患部だけではなく、顎や耳、首など広範囲におよぶ場合は、感染が周囲の組織にまで広がっている可能性があります。
親知らずの抜歯部が感染症を起こした場合は、炎症によって喉に痛みを感じるケースもあります。
神経症状(麻痺・違和感)
抜歯後に、しびれや麻痺を伴う違和感がある場合は、神経を損傷している可能性があります。
多くの場合、時間の経過とともに症状は軽減していきますが、しびれや麻痺などの症状に気づいた場合は、軽度であっても放置せず、まずは歯科医師に相談しましょう。
一方で、症状が重度の場合は適宜治療が必要になります。
どちらのケースも、しびれや麻痺などの症状がある場合は、まずは歯科医師に相談しましょう。
親知らずなど抜歯後の痛みに関するよくある質問
ここでは、抜歯後の痛みについてよくある質問にお答えしていきます。
- 抜歯後2週間痛い場合は異常?
-
抜歯後の痛みが2週間続く場合は、何かしらのトラブルが考えられます。
通常、抜歯後の痛みは、施術後1週間〜10日程度で改善していくケースが多いです。抜歯後の痛みが2週間続き痛みが強くなっていく場合は、ドライソケットや感染症を起こしている可能性があります。
いずれの場合も、放置によって症状の悪化や長期化につながるリスクがあるため、歯科医院を受診してください。
- 抜歯後に耳や首も痛むのは普通?
-
抜歯後に耳や首にまで痛みが広がる場合は、正常な経過ではない可能性があります。
これらの症状の原因として考えられるのが、感染症やそれに伴う炎症などです。親知らずの抜歯窩が炎症を起こした場合は、喉の奥が痛むケースもあります。
さらに感染が広がった場合は、顎の骨にまで影響をおよぼす可能性があるため、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
- 親知らずだけ抜歯後の痛みが長引く理由は?
-
親知らずの抜歯は、その他の歯と比較して施術が複雑になる傾向があり、抜歯後の痛みや腫れが長引く可能性があります。
とくに、親知らずが歯茎に埋まっている場合は、外科的な処置が必要になるケースが多いでしょう。歯茎を切開したり骨を削ったりするため、痛みが長引く傾向があります。
こうした傾向があることを理解したうえで、心配な場合は歯科医師に相談してみるとよいでしょう。
- 抜歯後の血餅が取れそうなときはどうする?
-
抜歯後の血餅には、傷口を保護し治癒を促進する役割があります。血餅が取れそうな場合には、舌で触ったり剥がしたりしないように注意しましょう。
食事は、スープやヨーグルトなど、できる限り咀嚼が必要ない物がおすすめです。また、口をゆすぐ際も、口に水を含んだうえで顔を左右に傾けるようにして優しくゆすぎます。
万が一、血餅が取れてしまった場合や、取れそうで心配な場合は歯科医院に相談してみましょう。
- 抜歯後の痛みやドライソケットを防ぐにはどうしたらいい?
-
抜歯後の痛みやドライソケットを防ぐには、炎症を抑えることが重要です。
具体的には、以下のようなことを心がけるとよいでしょう。
炎症を抑えるために心掛けること- 処方薬を正しく服用する
- ストローの使用を避ける
- 喫煙や飲酒を控える
- うがいは優しく行う
- 傷口を触らない
抜歯後に処方される抗生剤などの処方薬は、医師の指示に従って正しく服用するようにしましょう。
また、炎症を抑えるためには、血餅を保持することも重要です。
傷口や血餅が安定するまでは、できる限り抜歯箇所に刺激を与えないように注意しましょう。
親知らずなど抜歯後の痛みが続く場合は、歯科医院へ相談を

この記事では、抜歯後の一般的な痛みの期間と、長引く際に考えられる原因を解説しました。
通常、抜歯後の痛みは1週間〜10日程度で改善していきます。症状が長引く場合や、再度痛みが増す場合は、何かしらのトラブルの可能性があるため注意が必要です。
抜歯後の異常を放置した場合、症状の悪化や長期化のほか、さまざまな合併症につながるリスクがあります。
抜歯後の状態に不安がある場合や、痛みなどの症状がなかなか改善しない場合は、歯科医院に相談してみましょう。
記事監修:あずさ歯科クリニック麹町 院長 児島 梓 先生

2010年に岡山大学歯学部を卒業後、岡山大学予防歯科学講座に所属。その後、大阪の歯科クリニックで分院長を務めるなど臨床経験を積み、埼玉県・東京都内のクリニック勤務を経て、2023年4月に「あずさ歯科クリニック麹町」を開設。
豊富な臨床経験に加え、インビザラインや矯正歯科、インプラント治療、審美・補綴領域に至るまで幅広い研修・専門コースを修了。最新の知識と技術の習得に積極的に取り組み、精密かつ安心できる歯科治療を患者様に提供する。
単に症状を治すだけではなく、生活習慣や根本原因にアプローチし「将来にわたって口腔の健康と美しさを維持できること」を重視した診療姿勢は、多くの患者様から高い信頼を集めている。
経歴
経歴
- 2010年 岡山大学歯学部卒業
- 2011年 岡山大学予防歯科学講座
- 2013~2021年 大阪のクリニック勤務(分院長経験)
- 2021~2022年 埼玉県・東京都内のクリニック勤務
- 2023年4月 あずさ歯科クリニック麹町開設
資格・所属学会
資格・所属学会
- インビザラインコース受講
- 宮島矯正コース受講
- ストローマンインプラントベーシックコース受講
- EXDI6ヶ月コース受講
- SJCDレギュラーコース受講


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