「鏡で確認したら奥歯が欠けていた 」
「不思議と痛みは全くないから歯医者に行かなくても大丈夫かな?」
奥歯が欠けても痛みがないことで、つい受診を後回しにしてしまっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、痛みがないという状態こそ、注意が必要なサインかもしれません。
痛みがないからと油断して放置してしまうと、気づかないうちに虫歯が神経まで達したり、歯がさらに大きく割れてしまったりと、将来的に歯を失うことにもなりかねないのです。
この記事では、奥歯が欠けても痛みを感じない理由を解説するとともに、放置した場合に起こりうる深刻なリスク、そして歯の状態に応じた適切な治療法について詳しく解説します。
- 奥歯が欠けても痛みを感じない理由と、放置した場合の深刻なリスク
- 欠けた奥歯の状態を自分で確認するためのセルフチェック方法
- 奥歯が欠ける主な6つの原因
- 歯が欠けた際の応急処置と、重症度別の具体的な治療法・費用目安
奥歯が欠けても痛くない?放置は危険!その理由と深刻なリスク

奥歯が欠けたのに痛みがないと、「このまま様子を見てもいいかな?」と考えてしまうかもしれません。
しかし、痛みがない状態には理由があり、自己判断は危険です。
大切な歯を守るためにも、まずは痛みがない理由と、放置した場合にどのような問題が起こるのかを正しく理解しておきましょう。
なぜ痛みを感じない?歯の構造から理由を解説
奥歯が欠けても痛みを感じない主な理由は、損傷が歯の最も外側にあるエナメル質にとどまっているからです。
歯は表面からエナメル質、象牙質、歯髄(神経)の三層構造になっており、エナメル質は人体で最も硬い組織ですが、神経は通っていません。
そのため、エナメル質だけの小さな欠けであれば、痛みを感じることはありません。
しかし、欠けた部分から内部の象牙質が露出すると、刺激が神経に伝わりやすくなり、しみることがあります。
また、虫歯が進行して神経がすでに死んでしまっている場合も痛みを感じないため、放置は危険です。
放置で起こりうる深刻なリスクについて
欠けた奥歯を痛みがなくても放置することは、将来的に歯を失うことにつながるため危険です。
- 欠けた部分から細菌が侵入しやすくなり、虫歯が急速に進行する。
- エナメル質の内側の象牙質が露出し、歯髄炎や歯の神経の壊死を起こす。
- 長期間放置すると、最終的に歯を失うリスクが高まる。
また、一度欠けた歯は構造的にもろくなっているため、さらに大きく割れてしまい、最悪の場合は抜歯が必要になることも珍しくありません。
リスクを避けるためにも、症状がなくても必ず歯科医院を受診しましょう。
奥歯の欠けは痛みがなくても内部で進行している変化がある場合があり、早めに状態を把握しておくことが将来的なトラブル予防につながります。
奥歯が欠けたかも?自分でできる確認方法

もしかして歯が欠けた?と不安に思っても、奥歯は自分では見えにくく、判断に迷うことも多いでしょう。
歯科医院を受診する前に、ご自身の口の中の状態をある程度把握できる、いくつかのセルフチェック方法があります。
まずは落ち着いて、口の中の状態を把握することが大切です。
舌触りや感触で確認する
舌で奥歯を触ったときに、これまでになかったザラつきや鋭い角、段差を感じる場合、歯が欠けているサインです。
虫歯が原因で内部から崩れるように欠けた場合は、断面がザラザラともろい感触があり、強い力で割れた場合は鋭利な角を感じることがあります。
ただし、欠けた部分を何度も舌で触るのは危険です。
鋭利な部分で舌や頬を傷つけ口内炎になったり、細菌が侵入して症状が悪化したりする恐れがあります。
舌触りに少しでも違和感を覚えたら、それ以上触らずに早めに歯科医院を受診して、正確な診断を受けることが重要です。
痛みやしみる症状で確認する
冷たいものや甘いものを口にした際に、奥歯がキーンとしみるのは、歯が欠けて内部の象牙質が露出しているサインかもしれません。
歯の表面のエナメル質が欠けると、神経につながる象牙質の無数の管(象牙細管)がむき出しになります。
象牙細管を通じて刺激が神経に直接伝わるため、一過性の鋭い痛みを感じるのです。
特に、以前は問題なかったのに特定の歯だけがしみるようになった場合は注意が必要です。
痛みがすぐに治まれば知覚過敏の可能性が高いですが、痛みが長引く、または何もしなくてもズキズキ痛む場合は、虫歯の進行や神経の炎症も考えられます。
症状の有無にかかわらず、早めに歯科医院で診てもらいましょう。
見た目で確認する
鏡で見て奥歯が欠けており、その部分や周辺が黒または茶色に変色している場合、虫歯で歯がもろくなり欠けた可能性があります。
虫歯が進行すると内部の象牙質に食べ物の色素が沈着し、変色を引き起こします。
特に、大きく欠けているのに痛みがなく黒ずんでいるのは、虫歯によって神経が死んでしまった危険なサインかもしれません。
- 歯の表面に白い斑点や濁りが現れる。
- 歯の表面や奥歯の溝に茶色や黒色の変色がみられる。
- 冷たいものや甘いものがしみることがあるが、この段階では痛みは一時的で、強い痛みはない。
- 歯の表面のザラつきや違和感を感じることもある。
- 食べ物がよく歯に詰まる、またはフロスが引っかかることが増える。
歯の変色は着色汚れの可能性もありますが、自己判断は困難なため、欠けや色の変化に気づいたら速やかに歯科医院を受診しましょう。
奥歯が欠ける6つの原因

奥歯が欠ける原因は、硬いものを噛んだ衝撃だけとは限りません。実は、日常生活の中に潜むさまざまな要因が歯を脆くしている可能性があります。
代表的な原因として、以下の6つが挙げられます。
以下では、各原因を詳しく解説します。
①虫歯
奥歯が欠ける最も一般的な原因は、虫歯によって歯が内部から脆くなることです。
虫歯菌が歯の表面にある硬いエナメル質を溶かして内部に侵入すると、比較的柔らかい象牙質で虫歯が一気に広がります。
結果として、見た目では小さな穴でも、歯の内側は空洞になり、脆い状態になります。
- 奥歯の溝や複雑な形状により、歯ブラシの毛先が届きにくく磨き残しが発生しやすい。
- 咀嚼の中心となるため、食べかすや糖分が溜まりやすく、プラークが形成されやすい。
- 口の奥に位置するため、目視によるセルフチェックが難しく、虫歯の早期発見が遅れやすい。
内部が空洞化した状態で食事などの日常的な咬む力が加わると、支えを失ったエナメル質が耐えきれずに「パキッ」と割れてしまいます。
痛みなどの自覚症状がないまま進行することも多いため、気づかないうちに歯が欠ける危険な状態になっている可能性があります。
②歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、奥歯が欠ける原因の一つです。
睡眠中の歯ぎしりでは、通常の噛む力よりもはるかに強い力が歯にかかり、ダメージを蓄積させます。
歯にかかる過剰な負担は、噛む力の強い奥歯にダメージを蓄積させ、歯のすり減りだけでなく、ひび割れや欠けを引き起こすのです。
朝起きた時に顎がだるい、頭痛や肩こりがあるなどの症状は、無意識に歯ぎしりや食いしばりをしているサインかもしれません。
③過去の治療(詰め物・被せ物)の劣化
過去に治療した詰め物や被せ物の劣化は、奥歯が欠ける原因です。
修復物や接着剤は経年劣化し、歯との間に微小な隙間が生じます。
生じた隙間から細菌が侵入し、内部で虫歯(二次虫歯)が気づかぬうちに進行することで、歯の強度が著しく低下します。
特に保険適用で一般的に使用される金属やプラスチック製の修復物は、長年の使用により摩耗したり中度の欠け:インレー修復(詰め物)材料そのものが劣化したりする傾向にあります。
- 詰め物や被せ物の表面が黄ばんだり黒ずんだりしている。
- 物理的な衝撃や経年劣化で詰め物や被せ物が割れたり欠けたりする。
- 冷たいものや熱いものに敏感になる。
- 劣化した箇所に細菌が繁殖しやすく不快なニオイがする。
内側が脆くなった歯は食事などの日常的な力にも耐えられなくなり、ある日突然、詰め物ごと歯が大きく欠けてしまうことがあります。
奥歯の欠けを防ぐためにも、定期的な歯科検診で修復物の状態を確認することが重要です。
④酸蝕歯(さんしょくし)
酸性の飲食物の頻繁な摂取は、歯の表面を溶かす酸蝕歯(さんしょくし)を引き起こし、歯が欠ける原因となります。
酸蝕歯:
むし歯菌の作用ではなく、酸性の飲食物や胃液などの酸そのものに長時間さらされることで、歯の表面のエナメル質が化学的に溶かされてしまった状態のことを指します。歯が薄くなって先端が透けて見えたり、冷たいものがしみたりする知覚過敏のような症状が出ることがあり、酸を多く含むものの頻繁な摂取などが要因の一つとして考えられています。
- 炭酸飲料、柑橘類、酢、スポーツドリンクなど酸性度の高い食品や飲料を摂取している。
- 逆流性食道炎による胃酸の逆流で口の中が酸性となっている。
- 酸性のガスや職業的な酸の曝露による影響を受けている。
炭酸飲料やスポーツドリンク、柑橘類、お酢などは強い酸性(pH5.5以下)のため、歯の表面のエナメル質を化学的に溶かしてしまいます。
通常、口内は唾液の作用で酸が中和されますが、酸性の飲食物を長時間かけて摂取する習慣があると、唾液の修復作用が追いつきません。
その結果、エナメル質が徐々に薄く脆くなり、食事などのわずかな力でも歯が欠けやすくなるのです。
⑤噛み合わせの乱れ
噛み合わせの乱れは、特定の奥歯に過剰な負担を集中させ、歯が欠ける原因となります。
正常な噛み合わせでは力が歯全体に分散されますが、歯並びが悪いと一部の歯だけが強く接触し、食事や無意識の歯ぎしりなどで繰り返しダメージを受けます。
特定の歯にかかり続ける過度な力は、歯に微細なひびを入れ、徐々に大きな割れ目となり、最終的に歯の欠けてしまいます。
特に神経を抜いた歯は脆くなっているため、噛み合わせの不均衡による影響をより受けやすく、破折のリスクが高まります。
噛んだ時の違和感は、噛み合わせが乱れているサインかもしれません。
⑥外傷
転倒や事故、スポーツ中の衝突などで顔に強い衝撃が加わる外傷は、奥歯が欠ける原因となります。
強い衝撃で歯が直接ダメージを受けるだけでなく、反射的に奥歯を強く噛みしめることでも、歯が耐えきれずに割れてしまうことがあります。
健康に見える歯でも、目に見えないひびが入っている可能性も考えられます。
外傷を受けた際は痛みの有無にかかわらず、速やかに歯科医院を受診することが重要です。
奥歯が欠ける背景には生活習慣や歯の状態など複数の要因が関わることが多く、原因を知っておくことで日常の中での予防や早期の気づきにつながります。
歯科医院に行く前に自宅でできる4つの応急処置と注意点

奥歯が欠けてしまうと、痛みや違和感でどう対処すれば良いか不安になるでしょう。
すぐに歯科医院へ行けない場合でも、症状の悪化を防ぎ、安全に過ごすために自宅でできる応急処置があります。
あくまで一時的な対応ですが、ポイントを押さえることで落ち着いて行動できます。
以下では、各応急処置のポイントと注意点を紹介します。
欠けた部分に触らない
奥歯が欠けた際、気になっても舌や指で患部に触れることは避けましょう。
欠けた部分は傷口のようにデリケートで、細菌が侵入しやすい状態になっています。
手や舌で触れると、付着した細菌が内部に入り込み、虫歯を進行させたり、神経が炎症を起こして激しい痛みを伴う歯髄炎を招いたりする可能性があります。
- 欠けた歯を舌や指で触らないように意識する。
- 食事時には欠けた奥歯をなるべく使わず、反対側の歯や他の歯で噛むようにする。
- 歯磨きは優しく行い、欠けた部分周辺を慎重に磨くことで清潔を保つ。
- 強い痛みや腫れがある場合は鎮痛剤で対処しつつ、速やかに歯科医院へ受診して適切な治療を受ける。
患部を安静に保ち、早めに歯科医院を受診することが重要です。
欠けた歯の破片を保管する
欠けた歯の破片が見つかった場合、歯科医院での治療に使える可能性があるため、適切に保管することが大切です。
乾燥すると再接着が難しくなるため、欠けた歯が乾燥しないように保つことが重要です。
歯根膜が乾燥すると細胞が死んでしまい、歯の再接着や再植の成功率が著しく低下してしまいます。
- 歯牙保存液(専用の保存液)に浸す。
- コンタクトレンズ用の保存液や生理食塩水に浸す。
- 専用液がない場合は、冷たい牛乳に浸して保存する。
水道水は浸透圧が異なり細胞を傷つけるため、使用は避けてください。
もし液体が手元になければ、飲み込まないよう注意しながら口の中に入れて歯科医院へ持参する方法もあります。
痛みがある場合は鎮痛剤を服用する
歯が欠けて痛みがある際には、市販の鎮痛薬を服用することで一時的に痛みを和らげられます。
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの鎮痛成分が、体内で痛みを生み出す物質を抑え、つらい症状を緩和する仕組みです。
しかし、鎮痛薬はあくまで応急処置であり、歯が欠けた原因を治すものではありません。
もし薬が効かないほどの激しい痛みを感じるなら、歯が欠けて神経が露出している可能性も考えられます。
感染が広がる危険を防ぐためにも、痛みの強さに関わらず、できるだけ早く歯科医院で根本的な治療を受けることが重要です。
欠けた部分が鋭い場合はワックスでカバーする
欠けた歯の断面が鋭く、舌や頬に当たって痛む場合には、歯科用ワックスで一時的にカバーする方法が効果的です。
歯科用ワックスはドラッグストアなどで購入でき、米粒大に丸めて欠けた部分に貼り付けると、鋭利な角から口の中の粘膜を保護できます。
手元にワックスがない場合は、砂糖を含まないキシリトールガムなどを柔らかくして代用することも可能です。
ただし、ガムは時間と共に硬くなり外れやすいため、長時間の使用には向きません。
ワックスやガムによる保護はあくまで応急処置であり、根本的な解決にはならないため、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
歯が欠けた際の応急処置は症状の悪化を防ぐために役立ちますが、状態には個人差があるため、無理をせずご自身の口の変化に注意を払うことが大切です。
【重症度別】奥歯が欠けた際の治療法と費用

奥歯が欠けた際の治療法は、欠損の大きさや深さ、神経への影響など、歯の状態によって大きく変わります。
小さな欠けであれば1回の通院で済むこともありますが、重度の場合は複数回の通院と複雑な処置が必要になることも少なくありません。
以下では、欠けの重症度を3つの段階に分けて、それぞれの代表的な治療法を解説していきます。
軽度の欠け:コンポジットレジン(CR)修復
奥歯の軽度な欠けには、コンポジットレジン(CR)という歯科用プラスチックを詰める治療が一般的です。
歯の色に近い白い材料を使用するため見た目が自然で、健康な歯を削る量を最小限に抑えられることがメリットです。
治療は1回の通院で完了することが多く、費用も保険適用であれば1本1,500円から4,000円程度と比較的安価です。
一方で、金属やセラミックに比べて強度が劣るため、強い力がかかる奥歯では割れる可能性があります。
また、プラスチック素材のため経年劣化による変色や、詰め物の隙間から虫歯が再発するリスクも考慮が必要です。
中度の欠け:インレー修復(詰め物)
奥歯が中程度に欠け、コンポジットレジンでは強度に不安が残る場合、歯の型取りをして作るインレー(詰め物)での治療が一般的です。
インレーには様々な材質があり、それぞれ費用や特徴が異なります。
| 素材の種類 | 費用目安(1本あたり) |
|---|---|
| 銀合金(銀歯) | 約2,000円~5,000円(保険適用・3割負担) |
| CAD/CAMインレー | 約4,000円~7,000円(保険適用・3割負担) |
| オールセラミック | 約30,000円~100,000円(自費診療) |
| ジルコニア | 約40,000円~120,000円(自費診療) |
| ゴールド(金歯) | 約50,000円~100,000円(自費診療) |
保険適用の銀歯やCAD/CAMインレー(ハイブリッドレジン)は費用を抑えられますが、銀歯は見た目が目立ち、保険適用のCAD/CAMインレーは純粋なセラミックと比較して強度や耐久性で劣る場合があります。治療を開始する
一方、自費診療のセラミックやジルコニアは天然歯に近い見た目を再現できますが、強い衝撃で割れるリスクも考慮する必要があります。
どの素材を選ぶかは、見た目の希望や強度、費用、金属アレルギーの有無などを総合的に考慮し、歯科医師とよく相談して決めることが重要です。
重度の欠け:クラウン(被せ物)
奥歯が大きく欠けてしまった場合、歯の強度を補い、機能と形を回復させるためにクラウン(被せ物)で歯全体を覆う治療が一般的です。
クラウンにはあらゆる材質があり、保険適用か自費診療かによって費用や特徴が異なります。
| 素材の種類 | 費用目安(1本あたり) |
|---|---|
| 硬質レジンジャケットクラウン | 約3,000円~8,000円(保険適用・3割負担) ※前から5番目の歯まで保険適用 |
| 金銀パラジウム合金クラウン(銀歯) | 約4,000円~7,000円(保険適用・3割負担) |
| セラミッククラウン | 約80,000円~150,000円(自費診療) |
| ジルコニアクラウン | 約85,000円~150,000円(自費診療) |
| ゴールドクラウン | 約77,000円~150,000円(自費診療) |
保険適用の銀歯は安価で強度がありますが、見た目が目立ち、金属アレルギーのリスクがあります。
一方、自費診療のセラミックやジルコニアは、天然歯のような自然な見た目で体にも優しいですが高額な傾向にあります。
欠けた歯の状態や噛み合わせ、見た目の要望、予算などを総合的に考慮し、歯科医師と相談して最適な材質を選択することが重要です。
歯科医院で奥歯が欠けを治療するまでの流れ

奥歯が欠けている場合、症状の悪化を防ぐために歯科医院で早めに治療を受けることが大切です。
歯科医院で治療を受けるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。
奥歯が欠けたことに気づいたら、症状の悪化を防ぐため、できるだけ早く歯科医院へ電話で予約を入れましょう。
たとえ痛みがなくても、見えない部分で虫歯が進行したり、放置が原因でさらに破損したりする恐れがあります。
予約の際には、「奥歯が欠けたこと」「いつ頃からか」「痛みやしみる症状があるか」を具体的に伝えます。
詳しい症状を説明することで、歯科医院は緊急度を把握しやすくなり、当日の診察が円滑に進むでしょう。
歯科医院での診察では、問診や各種検査を通して歯の状態を正確に把握し、最適な治療方針を決定します。
はじめに、治療への希望や不安を相談しながら、歯科医師が症状を詳しくヒアリングします。
続いて、視診やレントゲン検査で口腔内全体の状況を確認し、マイクロスコープや拡大鏡を用いて欠けた状態を詳細に観察して肉眼では見えない微細な亀裂や虫歯の有無まで正確に診断します。
一連の診察と検査で得られた情報から欠けた原因を特定し、詰め物や被せ物など、一人ひとりの状況に応じた治療計画が立案されます。
歯科医院では、検査結果を基に、欠けた歯の現状と治療の必要性が説明されます。
レントゲン写真などを用いて、欠けの深さや虫歯、神経の状態が具体的に解説され、放置した場合のリスクも伝えられます。
その後、欠けの程度に応じた複数の治療法が提案されます。
保険診療と自費診療の選択肢について、それぞれのメリット・デメリット、費用、治療回数や期間の目安が示されるため、内容を比較検討することが大切です。
治療計画に同意したら、いよいよ治療の開始です。
強い痛みやしみる症状がある場合は、まず苦痛を取り除くための応急処置(鎮痛処置や神経を保護する薬剤の使用など)を優先することがあります。
症状が落ち着いている、あるいは軽度の欠けであれば、状態に応じて当日から本格的な修復治療に移ります。
奥歯の治療後は、歯を長持ちさせるために定期検診が必要です。
治療で詰めた物と歯の境目には、時間とともに微細な隙間ができ、細菌が繁殖しやすくなります。
定期検診では、専門家によるチェックと専門的なクリーニングを通じ、再発を早期に発見・予防することで、歯の寿命を延ばせます。
奥歯が欠けるのを防ぐためにできる対策

奥歯を欠けから守るためには、日々のセルフケアや生活習慣の見直しが必要です。
虫歯予防はもちろん、無意識に行っている癖が歯に大きな負担をかけていることも少なくありません。
以下では、奥歯の欠けを防ぐためにできる対策について詳しく解説します。
正しいブラッシングを心がける
奥歯の欠けを防ぐには、正しいブラッシングを心がけることが重要です。
歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、力を入れずに小刻みに磨くよう心がけましょう。
さらに、フッ素配合の歯磨き剤を併用すれば、歯質そのものを強化できます。
- 優しい力で磨く
- 柔らかめの歯ブラシを使う
- 欠けた部分を直接強くこすらない
- 研磨剤の少ない歯磨き粉を使う
- デンタルフロスや歯間ブラシは慎重に使う
毎日の丁寧なブラッシングとフッ素の活用が、丈夫な奥歯を守るポイントとなります。
定期的な歯科検診を受ける
奥歯が欠ける予防には、定期的な歯科検診が重要です。
半年に1回程度の受診を目安にすると、自覚症状のない初期虫歯や歯周病を早期に発見し、簡単な処置で対応できる可能性が高まります。
検診では、日常の歯磨きでは除去しきれない細菌の膜を、専門家が機械を使って徹底的に清掃します。
病気の早期発見と専門的なクリーニングを定期的に受けることが、歯の健康を維持し、深刻なトラブルを防ぐ鍵となります。
マウスピースを装着する
歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、就寝時にマウスピースを装着することで、奥歯が欠けるのを効果的に防げます。
睡眠中の歯ぎしりは、時に自分の体重の2倍以上、100kgを超えるほどの非常に強い力が歯にかかります。
過剰な力は、歯が欠ける大きな原因となります。
マウスピースは、歯と歯が直接ぶつかるのを防ぐクッションとして機能します。
- 歯や顎にかかる負担の分散できる
- 歯のすり減りを防止できる
- 詰め物や被せ物を保護できる
- 顎関節症の予防・軽減につながる
特定の歯に集中しがちな力を歯列全体に分散させるため、歯のすり減りや破折、詰め物の破損といったリスクを軽減できるのです。
食習慣を見直す
奥歯が欠けるのを防ぐには、食習慣の見直しが重要です。
ナッツや氷、硬いせんべいのような過度に硬い食べ物は、歯に直接的なダメージを与え、欠けたり割れたりする原因となるため控えましょう。
また、キャラメルやドライフルーツのような粘着性の高い食品は、歯に長時間付着して虫歯のリスクを高めます。
虫歯で弱った歯はわずかな力でも欠けやすくなるため、注意が必要です。
歯に負担の少ない食生活を心がけることが、奥歯を守ることにつながります。
悪習癖の改善する
奥歯が欠けるのを防ぐには、歯に不要な負担をかける悪習癖の見直しが重要です。
無意識に氷や飴、ペン、爪などを噛む癖は、歯に瞬間的または持続的な強い力を加え、欠けたりひびが入ったりする直接的な原因となります。
まずは自分の癖に気づき、今、歯に負担をかけていると意識することが改善の第一歩であり、歯の破折という深刻な事態を避けるために不可欠です。
奥歯を守るためには、毎日の丁寧なブラッシングや食習慣の工夫、無意識の癖への注意など、日常生活での小さな心がけが大きな予防につながります。
歯が欠けたことに関するよくある質問
最後に、患者さんから特によくいただく質問とその回答をQ&A形式でまとめました。
歯が欠けたことに対する疑問を解消する際の参考にしてください。
- ストレスで奥歯が欠けることはありますか?
-
ストレスが原因で奥歯が欠けることはあります。
ストレスは、無意識のうちに歯を強く食いしばったり、こすり合わせたりする歯ぎしりを引き起こす主な要因です。
睡眠中の歯ぎしりでは、時にご自身の体重の2倍以上の力が歯にかかり、この過剰な力が歯にひびを入れ、欠けさせてしまうのです。
- 欠けた奥歯が黒いのはなぜですか?
-
欠けた奥歯が黒く見えるのは、内部で進行した虫歯か、歯の神経が死んでいることが主な原因です。
虫歯の場合は、弱くなった部分が欠けて内部の黒い部分が露出します。
神経が死んでいる場合は、歯に栄養が行き届かなくなり、内側から変色してもろくなり欠けてしまいます。
もし、違和感を覚えたら、早めに歯科医院を受診しましょう。
- 子どもの歯が欠けた場合は、どう対処すればいいですか?
-
お子さまの歯が欠けたときは、まず落ち着いて口の中を確認し、欠けた歯の破片があれば探しましょう。
破片は乾燥させず、牛乳や生理食塩水に浸して保存してください。
そのうえで、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
- 奥歯が欠けた後でも歯磨きしていいですか?
-
奥歯が欠けた後でも歯磨きは必要です。
欠けた部分は汚れが溜まりやすく、虫歯や感染のリスクが高まるため、口の中を清潔に保つことが重要です。
痛みがない場合は、柔らかい歯ブラシで優しく磨きましょう。
ただし、歯磨きはあくまで応急処置なので、できるだけ早く歯科医院を受診してください。
奥歯が欠けた場合、痛くなくてもすぐに歯科医師に診てもらおう

奥歯が欠けても痛みがないのは、損傷が神経の通っていないエナメル質にとどまっているか、既に神経が死んでいるためです。
しかし、痛みがないからといって放置するのは危険です。
欠けた部分から細菌が侵入し、虫歯が進行して神経の炎症や壊死を招き、最終的に歯を失うリスクがあります。
そのため、欠けに気づいたら、自己判断せず速やかに歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。


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